マットレスがカビると、黒い点々やしみのような広がりができたり、かび臭いイヤな匂いがすることもありますよね。
そのため、やむなくマットレスを買い替えたという経験はありませんか?もしくはまさに買い替えようとしているあなた。二度とそんなことにならないように、カビ対策をきっちりしておきたいですよね。
実は、カビは気持ち悪いだけでなく、気管支肺アスペルギルス症、気管支喘息、アレルギー性結膜炎など、「感染症」「アレルギー」「カビ中毒」を引き起こすこともあるのをご存じでしょうか?
カビ自体は感染力はあまり強くありませんが、マットレスのカビは寝ている間ずっと吸い込んでしまう可能性があります。よって抵抗力の弱い小さな子供はもちろん、若い方でも疲労や病気などで抵抗力が落ちた時は要注意なのです。
マットレスにカビが生えないようにするには、いろいろな方法がありますが、結局のところ一番効果的なのは、お部屋の湿度をコントロールすることと、定期的にマットレスのメンテナンスをすることです。
それらについて分かりやすくご紹介していきますね。これを知っておけば、カビ対策はばっちりですよ。
目次
マットレスにカビが生える原因
最初に、マットレスにカビが生える原因を押さえておきましょう。
部屋の湿度が高い
カビは部屋の湿度が60%を超えると生えはじめます。
湿度 | カビの特徴 | カビの種類 |
60% | 乾燥したところで 生えるカビ |
コウジカビ (ユーロチウム) |
70% | 湿気の多いところで 生えるカビ |
アオカビ クラドスポリウム |
80% | かなり湿気の多い ところで生えるカビ |
クロカビ 赤カビ |
(参考:ダイキン工業お部屋のカビ対策)
上表のように、部屋の湿度が60%になると、コウジカビというカビが生えることが分かります。それ以上湿度が高くなると、さらにいろいろな種類のカビが発生するんですね。怖い!
夏や梅雨の時期はもちろん、乾燥しがちな冬でも加湿器を使っている場合は要注意です。
寝汗が多い
マットレスの表面にカビが生える場合は、寝ている間の汗が原因です。
寝汗の量が多い方は、その分マットレスの湿気もひどくなります。夫婦で一緒に寝ていて、旦那さんの方だけマットレスにカビが生えたという方も多いですよね。
汗かきな男性や、代謝のいいお子さんは注意しましょう。
掛布団をかけっぱなしにしている
掛布団をそのままかけっぱなしにしていると、寝汗などの湿気がこもったままになります。冬でも意外と布団の中は湿度が高いものです。
床の冷気や結露の影響
マットレスが床に近いと、床の冷気や結露が原因でカビが生えることもあります。あまり汗をかかない女性でも、マットレスをフローリングに直置きしているとカビが生えてしまうこともありますよ。床にべた置きするフロアベッドも注意が必要です。
カビが生えやすいマットレスを使っている
ポケットコイルやボンネルコイルなどのコイル状のマットレスは、中が空洞になっていますので比較的カビは生えにくいと言えます。気をつけたいのが、ウレタンフォームなどのマットレスです。
テンピュールをイメージしていただくと分かりやすいでしょう。
もちろんどちらも高級なアイテムですので、通気性を高める工夫はされていますが、ポケットコイルなどのマットレスと比べると通気性は悪いといえます。
マットレスにカビが生えないようにする対策
では、上記の原因を踏まえたうえで、具体的でかつ効果のある対策を見ていきましょう。
1. 部屋の湿度を60%以下にコントロールする
カビを生やさないためには、1にも2にも部屋の湿度を調整することが大事です。
この湿度というものは、実際に何%あるかなんて肌で感じられるものではありません。ちょっとお部屋が乾燥してるかなあ。今日はなんだかじめじめしてるなあ。といった程度ですよね。
それではちゃんとした対策は取れませんので、以下の方法が有効です。
湿度計を使って正確に湿度を計る
正確に湿度を計るには、「湿度計」を使うのが一番簡単。目で見て正確に湿度がコントロールできますから。持っていないという方は、ぜひご用意ください。
加湿器を使った場合など、すぐに湿度が上がりますので、湿度計でまめにチェックしていきましょう。
空気清浄機でも湿度設定をする
加湿機能付きの空気清浄機を使う場合には、必ず湿度を60%以下に設定しておきましょう。自動で湿度をコントロールしてくれるものも便利です。
湿度が上がったら、窓を開けて換気する
もしも湿度が上がってしまったら、窓を開けて換気をすると効果的です。風が入ったとたんに湿度はすーっと下がります。空気の入れ替えにもなりますのでおすすめです。
エアコンのドライモードで調整する
じめじめとした梅雨には湿度も自然に高くなりますので、エアコンのドライモードを活用しましょう。換気のために窓を開けると逆にじめじめした湿気が部屋に入り込み、湿度が高くなるので気をつけてくださいね。
2. 寝汗によるカビは「寝汗パッド」で防ぐ!
カビの原因で一番分かりやすいのが「寝汗」でしょう。特に夏の熱帯夜など、寝ている間にシーツが寝汗でびしょびしょになっていた、という経験ありますよね。
そのため、マットレスには寝汗パッド(マットレスパッド)を敷くのが基本です。
汗かきな方は絶対使ってくださいね。お子さんには、おねしょシートや除湿シートもおすすめです。
こういった寝汗パッドは、洗濯もしやすく、汚れたら簡単に取り換えることができるというメリットがあります。こまめにお手入れすることで、寝汗による湿気やカビは、ここで簡単に防げます。
3. かけ布団はめくり、定期的にマットレスを干す
掛布団とマットレスの間にも湿気はたまりやすいので、朝起きたら掛布団はめくっておくようにしましょう。
寝室の湿度をコントロールしていても、布団の中が高湿度ではカビは生えてしまいます。
天気がいい日中は、定期的に布団や毛布を天日干しするのも湿気対策に効果的です。
また、できれば1ヶ月に1回はマットレスを立てかけたりして風に当てることも大切です。その際に上下や裏表を変えてあげると、マットレスの寿命も長持ちしますよ。
4. 床に近い位置にマットレスを置かない
「冬になると床が冷たい」「冬フローリングが湿っているように感じる」という方は、なるべく床から高い位置にマットレスが来るようにしてください。
フローリングにマットレスを直置きしない
一人暮らしなどで、フローリングにマットレスを直置きする方も多いですが、カビ対策の面ではおすすめではありません。
フローリングによっては、冬に結露することもあり、その湿気がマットレスの底面に直接当たることでカビが発生してしまいます。また、湿気の逃げ道もないので、カビにとっては好条件です。
どうしてもというなら、マットレスの下に敷く、専用のすのこを使うといいでしょう。ホームセンターなどの安いすのこだと、寝ている間の重みで割れることもありますのでご注意を。
フローリングの板の隙間に黒い点々が見えたら、それはすでにカビです。気をつけてくださいね。
フロアベッドは湿気にくいタイプにする
ロータイプのフロアベッドにする場合、床からの冷気を受けやすくなります。上述のカビの発生する原因で当てはまるものが多い方は、フロアベッドはおすすめではありません。
そうでない場合でも、できれば湿気にくいタイプのフロアベッドを選ぶようにしましょう。すのこが使われているものや、マットレスを直乗せするタイプがおすすめです。
フロアベッドについては、以下の記事で詳しい情報が見れます。
5. カビが生えにくいコイル系のマットレスを使う
カビを生やさないためには、マットレスの選び方も重要です。
コイル系のマットレスがおすすめの理由
日本では、マットレスはポケットコイルやボンネルコイルなどの、コイル系のものが主流です。これらのコイルの中は空洞になっていますので、基本的に通気性は高く、カビ対策にはうってつけの構造なのです。
↓ ポケットコイルマットレスの断面はこのようになっています。
マットレスの表面近くは、樹脂綿やウレタンなどの素材が使われていますが、コイル部分はバネ状になっていて中が空洞になっているのが分かりますね。表面部分の湿気には注意が必要ですが、コイル部分にカビが生えることはまずないと言えるのです。
通気孔があるとより効果的!
最近では、マットレスの側面に通気孔(通気口)やベンチレーターがついているものも人気です。
これは、マットレス内の湿度や温度を一定にキープするためのもので、こもった湿気を外に逃がしてくれる役割があります。ポケットコイルなどでさらにベンチレーター付きのマットレスだと、カビ対策にも最強です!
ウレタン系のマットレスは使わない
一方、カビが生えやすいのは、ウレタンのような気密性の高い中材を使ったマットレスです。
テンピュールを思い浮かべる方も多いでしょうが、実際にテンピュールの公式サイトでは次のように書かれてあります。
睡眠中の汗程度の水分は自然に乾燥しますが、湿度の高いお部屋に置いたり、多量の汗や水分を含んだまま放置されますとカビが発生する恐れがございます。(テンピュール公式サイト よくある質問とその答え)
気密性が高いマットレスは、湿気を逃がしにくいというデメリットがありますので、カビ対策には不向きです。
マニフレックスや東京西川のAirは、同じようなウレタン系に見えますが、通気性のいい素材が使われていますので比較的安心です。
エアウィーヴなどの樹脂性の繊維もおすすめ
エアウィーヴやTOYOBOのブレスエアーのような、樹脂性の繊維でできたマットレスを使うのもいいですね。
こういった樹脂性の繊維のマットレスは、ウレタン系に比べると30倍以上の通気性があり、速乾性も高いです。(ブレスエアー公式サイトより)
マットレスパッドとしての使い方が一般的ですので、普通のマットレスと2つ分のお金がかかるのがデメリットです。
注意点
「ウレタン系のマットレスはカビが生えやすいんだ!」と単純に思わないでくださいね。湿度が適正に保たれ、通気性のいい環境なら、テンピュールのマットレスでも、カビが生えることはありません。
逆に、ポケットコイルのマットレスでも、汗取りシートを使っていなかったり、結露の多い窓際にベッドを置いていたりすると、カビは生えてしまいます。
すのこベッドにしたらカビないって本当?
よく「カビ対策のためにすのこベッドを買った」という方を見かけます。確かにすのこベッドは通気性に優れていますが、すのこベッドにしたからといってカビが生えないという保証はありません。
上記でも述べたように、湿度の高い環境では、すのこベッドでもマットレスにカビは生えます。窓や床の結露がひどい冬になると、すのこ本体にまでカビが生えたというケースもあります。
ただ、ワンルームマンションなどで気密性が高く、普段から留守がちで風を通したりできない場合は、やはりすのこベッドがおすすめ。少しでも通気性がいい方がカビ対策になるからです。
実際に、すのこベッドは一人暮らしの男性に圧倒的に人気です。
ファブリーズはカビ対策になる?
テレビCMでもおなじみのファブリーズなら、カビの予防ができると思っている方も多いようです。こちらに関しては実際にP&Gに問合せてみたところ、次のような回答をいただきました。
ファブリーズには、カビの発生を防ぐ効果はありません。成分においても、カビへの有効性は確認できておりません。(2018年2月現在)
ファブリーズの消臭・除菌効果は、あくまでタバコ、体臭、汗、ペットなどの匂いの原因となる菌に効くものです。カビの匂いに関しては、一旦は軽減することはできますが、カビが消滅しない限り、再びニオイが発生することがあるということです。
まとめ
マットレスにカビが生えるには、それなりの原因があります。まずはご自分の環境で当てはまる原因をちゃんと把握することが大事です。
そして、その原因を解決できる対策をとりましょう。そうすると余計なお金を使うこともなく、適切な対処ができるのです。
無駄な心配をしすぎて、好きなデザインのベッドが買えないなんてことになるととても残念です。正しい知識で、あなたに合った対策を取ることで、マットレスのカビは効果的に除去できるのですから。
なお、引き出し付きの収納ベッドなど、構造によってはマットレスだけでなく「フレーム」にもカビが生えることがあります。以下の記事もぜひお読みください。
(参考)ベッドの「湿気」と「カビ」の話~正しい知識で賢い対策!