アパートや賃貸マンションに引っ越す際、家賃を抑えるために和室のある物件を選ぶ方も多いでしょう。
その場合、これまでベッドを愛用していた方は、畳の上にそのままベッドを置いていいものかどうか悩むでしょうし、何より畳が凹んだときの補償も心配ですよね。
- 退去時に、畳の張り替えの費用を請求されるのか
- 凹んだ部分の修繕費を敷金から差し引かれるのか
こんなことを思うのは、あなただけではありません。
そんなあなたのために、今回は、賃貸マンションの畳にベッドを置いたときの凹みの補償について説明していきます。もちろんソファやタンスなど、その他の家具でも同じことが言えます。
管理会社とトラブルにならないための注意点もご紹介しますので、ぜひお読みください。
目次
畳の凹みで修繕費用はかかるのか?
結論から言うと、畳の凹みでは修繕費用がかからないケースの方が多いです。
ただ、契約内容や使用状況によって違いますので、注意が必要です。
契約書に書いてある場合は必要
そもそも、契約時に「退去するときに畳の表替えの費用は借主(借りている人)が負担する」と決められていたなら、もちろん費用は発生します。
この場合は、少々凹んでもどうせ費用がかかるんだから、と割り切って使うことができますね。
通常の生活による凹みの場合は不要
例え上記のように書かれていたとしても、「自然損耗によるものを除く」とある場合は修繕費用は発生しません。
ちなみに、私も以前賃貸でマンションを借りていましたが、賃貸契約書には以下のように書かれてありました。
障子・ふすまの張り替え、畳交換、壁クロスの張り替え(ただし、自然損耗によるものを除く)
この「自然損耗」という言葉が気になりますよね(^^;
例えば、お子さんがジュースをこぼしたのに、放置したためにできたシミや、畳にクレヨンやマジックで落書きをした場合などは、故意・過失にあたります。
一方、日焼けで変色したり、長年使うことで表面が擦れたり傷ついたりした場合は自然損耗になります。この場合、修繕費用は払わなくてもかまいません。
国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』には、畳などの修繕費用について以下のように書かれています。
損耗等を補修・修繕する場合の費用については、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等について、賃借人が負担すべき費用と考え、他方、例えば次の入居者を確保する目的で行う設備の交換、化粧直しなどのリフォームについては、経年変化及び通常使用による損耗等の修繕であり、賃貸人が負担すべきと考える。(国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』より)
かなり難しいですが、分かりやすく言うと、以下のようになります。
借りる人の故意・過失によるものの補修費は借りる側が負担し、経年劣化や通常生活でおこる損傷のばあいは、貸主(管理会社など)が補修費を負担する。
ということなのです。
ベッドの場合「通常生活での凹み」に当てはまる?
では、ベッドによる凹みは通常生活による損傷になるのでしょうか?そもそも和室の畳にベッドを置くことに違和感がある場合、ここが気になるところですよね。
私自身は、ベッドの脚による凹みも通常の生活によるものと解釈しています。『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』には以下のように書かれていあす。
家具保有数が多いという我が国の実状に鑑みその設置は必然的なものであり、設置したことだけによるへこみ、跡は通常の使用による損耗ととらえるのが妥当と考えられる。(国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』より)
こちらでは、家具を置くだけでできた凹みは問題ない、とされています。
ベッドの場合、置くだけでななくその上で寝起きするものですので、その使い方がポイントになるでしょう。2段ベッドやファミリーベッドで、お子さんがドスンドスンと暴れまわってできた大きい凹みは、補償しないといけないかもしれません。
また、賃貸年数が1、2年と短いのに大きい凹みができてしまった場合は、自然損耗とみなされないこともあるでしょう。あくまで「日常の生活に必要な使い方でできた凹みかどうか」がカギになるのです。
補償費用が発生するかどうかは、すべて退居するときの畳の状態によるので、一概には決められない、というのが現状のようです。以前エイブルさんとの話の中でも、このように言われましたよ。
補償を請求されたらどうしたらいいか?
過失によって凹みができた場合は、修繕費を請求されることになります。ただ、基本的には凹んだ部分の修繕費だけを払えばいいとされています。
まれに、全面張替えの費用を請求されたという方がいらっしゃいます。その場合、言われるままに支払う義務はありません。もしも話が解決しないようなら、国民生活センター、消費生活センターなどに早目に相談しましょう。
トラブルにならないために押さえておくこと
賃貸契約時に、もともとどのくらいの消耗(傷、凹み、汚れなど)があるかを確認しておきましょう。気になる箇所は写真を撮って保存しておくと安心です。
退去するときには、できるだけ家主、管理会社、仲介業者等の立ち会いのもと、部屋の現状を確認します。
転勤等で遠方へ引っ越すようなケースでは、特に必要です。立ち会いをしないまま退去してしまうと、あとになって家主側から心当たりのない損傷を指摘されることもありますよ。
借りていた部屋に戻って確認することが難しいため、泣き寝入りをする方も少なくありません。
カーペットは敷いた方がいいのか
不動産屋によっては、和室にベッドやタンスなどの家具を置く場合、カーペットを敷くようにすすめられることもあります。
これまでのことを踏まえると、凹みを気にしてカーペットを敷く必要はないでしょう。湿気が多い部屋では、カビやダニが発生する原因にもなります。
- 洋風のイメージにしたいから
- 可愛いラグを合わせたい
- 模様替えをしたときに凹みが目立つと嫌
このような理由でなら、状況に合わせてカーペットやラグ、ウッドカーペットなどを敷いて雰囲気を変えるもいいですね。
私自身は、和室が大好きなので、畳やふすまの雰囲気を残して素敵なコーディネートを楽しむ方がいいと考えます。素敵な事例もありますので、ぜひ参考にしてください。
フロアベッドなら畳が凹む心配がない
最近人気のフロアベッドなら、畳が凹む心配もありません。
脚がなく、床にべたっと置くタイプなので、体重が分散されるのがイメージできますよね。
低いタイプのものだと、布団寝に近いスタイルにもなり、和室には得におすすめです。
「DIY可能物件」という選択肢もアリ!
最近のDIYブームもあいまって、賃貸マンションにも「DIY可能物件」が増えてきています。
壁にペンキを塗ったり、畳や床材の張り替えができるなど、自分好みのカスタマイズが自由にできるのが特徴。(オーナーや物件によって対応できる内容は違います。)
畳の部屋をおしゃれにリノベーションしたりする喜びは格別!修繕費を心配するよりも気楽に楽しく過ごせますよ。
DIYの費用は、基本的には入居者の負担となります。
まとめ
和室にベッドを置いた時の畳の凹みの補償について、最後にまとめておきますね。
- 賃貸契約で「張替費用が必要」とあれば、退去時に支払う
- 日常の生活での凹みでは補修費用は支払わなくていい
- 非日常的な使い方での凹みや傷は例外
- 自分の借りる物件についての契約内容をよく確かめておく
こちらでご紹介したのは、基本的なものです。物件や管理会社によって契約内容もさまざまですので、事前によく確認しておくようにしましょう。